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ミュージカル作品紹介(第116回)
壁の中 の 妖精
■劇  団 木山事務所
■鑑 賞 日 平成11年9月21日(火) ソワレ
■劇 場 名 俳優座劇場(六本木)
■料  金 全席指定�,000円(前売料金)

■脚本・作詞・演出 福田 善之  ■振  付 上島 雪夫
■作曲・音楽監督 上田 亨    ■美  術 石井 みつる
■衣  裳 料治 真弓      ■照  明 日高 勝彦
■音  響 小山田 昭      ■歌唱指導 時枝 康郎
■影絵デザイン 堀 直昭     ■舞台監督 佐竹 修
■企画・演出補 福原 圭一    ■制  作 木山 潔
キ ャ ス ト

春風 ひとみ
 
ス ト ー リ ー
 少女マリアは、母フリアーナが行商に出ていた夜に、壁の向こうから話しかける妖精を見つけた。妖精は、マリアに正直者と不正直者が登場する「十二月の物語」を語って聞かせ、唄を覚えさせてくれた。時は経て、その妖精は父マノーロであることを知る。マノーロはスペインの共和国側に属していたが、全体主義者フランコの台頭により国賊となった。
 何も知らずに舞い戻ったマノーロを、フリアーナは家内の狭い空間に煉瓦の壁を作って隠した。治安警備隊の厳しい追及をかわしつつ、手広い行商で家計を維持して一家は生き長らえた。やがてマリアも嫁に行き、待望の恩赦も下ったが、マノーロは三十年間も隠者として暮らしてきたのだった。
コ メ ン ト
シナリオ スペイン戦争に絡む実話を題材にした作品です。すでに6年目を迎えるためか、完成度はかなり高い感じです。部分的に理解のできない筋立てがありましたが・・・。
キャスト 1人ミュージカルという珍しいものです。1人で数役を演じ分けます。誰にでもできる技ではありません。
ナンバー 三度リプライズされる「生きてるってこんなに素晴らしい」がお奨めです。個人的には「たまご売り」が好きです。
ステージ バックにスペイン戦争で市民と治安警備隊が対立するシーンを描いた油絵風衝立があり、サイドにも模写絵が並べてありました。ステージにはベッド・鏡台・椅子などが置かれ、スペインの民家を演出していました。
物語を観せるために使われた影絵は秀逸でした。
演 技 力
ほとんど落語の噺家です。顔の向きを変え、声のトーンと調子を瞬時に替えることで何役も演じ分けます。子供役は無理がありましたが、母親役・老婆役・若い娘役・ならず者役など見事に演じていました。随所に見せるマイムもよく検証してあり、楽しいものでした。
十色ぐらいある声色はもちろん、表情も動作も変えてしまえるのは、本当に素晴らしいです。
歌 唱 力 春風の高音は張りと伸びがあり、素晴らしい響きがあります。その代わりに、低音はかすれたり震えたりしていました。役ごとに歌声も変えていましたが、かなり修練を積んだことでしょう。
ダ ン ス フラメンコもどきの他は、特筆すべきダンスはありません。飛び跳ねたり、くるくる回ったり、クラシック崩れのようなダンスが散見されただけです。
総合評価 一人ミュージカルという聞き慣れない中身に不安を感じましたが、もともと演技派女優が観せるだけに安心して観られました。反戦というカラーも強すぎず、纏まりの良い秀作でした。しかし、5,000円は少し高いと感じたので、評価をワンランク下げました。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
木山事務所
 事務所/東京都豊島区西池袋3−17−11−201   Tel:
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