ミュージカル作品紹介（第１４９回）
YESTERDAY IS ･･･ HERE
■劇　　団　ＴＳミュージカルファンデーション ■鑑 賞 日　平成１２年４月１４日（土）　ソワレ ■劇 場 名　文京シビックホール・大ホール（後楽園） ■料　　金　全席指定�,000円（前売料金） ■演出・振付　謝　珠栄　　　　　　■脚　　本　正塚　晴彦 ■作　　曲　玉麻　尚一　　　　　　■作　　詞　大場　公之 ■美　　術　和田　平助　　　　　　■照　　明　塚本　悟 ■音　　響　山中　洋一　　　　　　■舞台監督　若茂田　健二
キ　ャ　ス　ト
タック　　　　（平沢　　智）　　　ミュー　　　　（竹内千奈津） ジョー　　　　（山野　史人）　　　青年　　　　　（川本　昭彦） スムース　　　（萩原　好峰）　　　スピード　　　（福永　吉洋） スカンク　　　（三阪　　賢）　　　　　　　　　　　　　　　ほか
ス ト ー リ ー
サイレント・ジョーと呼ばれる老人が、物好きな青年に語って聞かせたタックとミューの物語。 　天から降ってきたように、街に現れたタック。彼は、スムースら不良たちにからかわれるミューと出会った。ミューはある事件で心を閉ざし、話すことができなくなった不幸な少女だった。何とか話させようと、笑わせたり怒らせたり奮闘するタック。やがてボクシングが彼女の心を開かせるキッカケであることを発見した。 　街のチャンプを倒して有名人になったタック。スムースたちはアノ手コノ手で試合をさせようとするのだったが、相手と自分を傷つけるボクシングに、タックは気乗り薄。しかし、あるキーワードがミューの心を再び閉ざしたことから・・・。
コ　メ　ン　ト
シナリオ	○	タックのプロットは最後まで謎ながら、１幕は楽しく展開しました。泣かせよう泣かせようと頑張るシナリオですが、２幕は冗長なシーンの引き延ばしが続いて、持て余し気味でした。 エンディングは尻切れで、ジョーと青年の役割もよく分かりませんでしたし、ない方がスッキリするでしょう。ミューのプロットは役者に期待される面が強いようですが・・・。
キャスト	◎	ダンスはＡクラスです。芝居は少しくさく、歌唱力もバラツキが目立ちました。準主役のスムースたち三人組が、今ひとつ切り分けられていません。アンサンブルも思い思いの行動を示すものの、性格付けは甘いようです。
ナンバー	◎	どこかで聞いたようなフレーズが多かったのですが、ナンバーリストがないので分かりません。フィナーレ「優しさも愛することも」、「成せば成る」が良いナンバーです。
ステージ	◎	板塀をイメージした衝立が何枚もあり、それに付随して踏み台や椅子が登場していました。ジョーの存在をカットすれば衝立の移動も最小限で済んだらしいことが残念です。
演 技 力	☆	平沢の存在が大きいです。帽子を使ったマイムや、呪文を唱えるような怪しい振る舞いが面白いです。変な生真面目さ、細かい仕草も、楽しめました。三人組はちょっと演技過剰に感じました。 竹内の熱演も平沢とかみ合って面白いです。追いかけっこのシーン、記憶を戻して狂い出すシーン、タックの愛情に応えるシーン・・・少しずつ言葉を話せるようになる様子も見事です。
歌 唱 力	◎	竹内は「優しさも愛することも」のソロ・デュオしか唱いませんが、澄み渡る綺麗な声です。ラストナンバーしか唱わせないのは惜しいものの、非常にインパクトがあります。平沢は下手ではないですが、どのナンバーも平たく聞こえます。感情はよく籠められていると思うのですが・・・。
ダ ン ス	☆ ☆	さすがといいますか、当然といいますか、見事なダンスです。まず振付のパターンが豊富です。この短い作品に、何本ものダンスが織り込まれていました。その一つ一つがオリジナルを含む巧みな動きを見せ、ジャンルもテンポも違う複雑な振付がなされています。しかも驚くことは、完璧に揃うことで、なおかつグループ毎に巧い配分がされていることです。立ち位置もよく計算されている印象です。 「成せば成る」のものが一番印象的でした。その中でキレがあったのは、竹内です。ダンスシーンだけ、ミューとは目一杯にかけ離れていました。平沢はダンスよりもアクションが目立ちます。あまり意味のないバク転とか・・・。
総合評価	☆	すでに何度も公演されている本作は、劇団の看板公演です。ダンススクールが母体だけにダンスは見事です。音楽も素晴らしいですが、シンガーが唱い切れていないのが残念な印象です。シナリオは、ジョーの存在が全体を腐らせていたので整理してくれることと、２幕をもう少し膨らませるか短くするか明瞭にしてくれることを望みます。 竹内は、演技・歌・ダンスのいずれも素晴らしいです。今後の活躍にも期待します。
上記コメントはポン太の主観＆独断に基づいています なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア　ク　セ　ス
ＴＳミュージカルファンデーション 　事務局／東京都港区南青山５−３−２　　　Ｔel：