前回へ  ホームへ  次回へ
ミュージカル作品紹介(第253回)
Dawn 〜 夜明け 〜
■劇  団 TSミュージカルファンデーション
■鑑 賞 日 平成12年11月10日(土) マチネ
■劇 場 名 アートスフィア(天王洲アイル)
■料  金 全席指定A席�,000円(前売料金)

■構成・演出・作詞・振付 謝 珠栄  
■作  曲 斉藤 恒彦     ■作詞・台本協力 萩田 浩一
■振  付 辻元 早苗     ■衣  裳 ひびの こずえ
■美  術 金井 勇一郎    ■照  明 森下 泰
■音  響 山中 洋一     ■映  像 主藤 芳邦
■舞台監督 浅沼 宣夫     ■ヘアメイク 高橋 功亘
■歌唱指導 泉 忠道
キ ャ ス ト
少年/作曲家 (姿月あさと)   狩人     (石原 慎一)
犬      (平沢  智)               ほか
ス ト ー リ ー
 新進の作曲家へ届いた、謎の少年からの電子メール。インディアンの血を引くという少年は、人里を離れて森に棲み、狩人と出会って自然に親しんだ生活を過ごしていた。多くの動物たちと触れあい、生きることに意味を感じ取ったという少年は、時空を越えて作曲家へメッセージを送り続けた。しかし・・。
コ メ ン ト
シナリオ 少年の物語に特化すればすっきりするのでしょうが、作曲家を絡めたために分かりにくいシナリオでした。必要以上に自然に対する価値観を押しつけるような会話は、説得力を欠き半端な印象を受けました。生死や自然をテーマにするのであれば、より明確な哲学を打ち出して欲しいです。
キャスト シナリオの不出来が惜しまれるほどに、良いキャストを揃えています。
ナンバー ソングナンバーが少なく、インパクトの弱いダンスナンバーが多くありました。ダンスナンバーに設けられた表題が空々しく、訴えたいテーマが明確でありませんでした。
ステージ ステージ後方に一面のスクリーンがあり、登退場用の切り裂きがいくつも設けてありました。その手前に少し湾曲した傾斜ステージがありました。シンプルなのは良いですが、演出としては単調でした。衣裳を含めて、劇団四季「ライオンキング」を意識してあるようでしたが、スケールで及びません。
プロジェクターを使った複雑な意匠のライトがスクリーンや床に投影されていました。ナンバー同様に主題が明確でなく、ただチカチカしているという印象を受けました。また作曲家の部屋をイメージしたセットは、ゴテゴテして見苦しいものでした。
演 技 力 宝塚出身の姿月は、作曲家と少年を演じ分けていました。とくに少年として伸びやかな演技がよく、細部まで見事な立ち回りでした。石原は、渋い役回りを演じ、少し抑え気味でサポートに回っていました。平沢は、気ままで剽軽なキャラクターをよく出しており、楽しませてくれます。
歌 唱 力 そもそもソングナンバーが少ないのが難点です。姿月は張りのあるよい声で唱いますが、肝心の歌詞に込められたメッセージが薄いため、感動を呼ぶまでには至りません。石原の声は、かすれ気味で聞き取りにくかったです。いつもの美声が聞けなかったのは残念です。
ダ ン ス ダンスがウリの劇団ですので、色々と楽しいダンスが見られました。しかし脚本やナンバーとのアンマッチがあり、バランスの悪さが目立った面もあります。ダンスショーに特化した方が、コンセプトの明確な作品となったかも知れません。
総合評価 それなりのチケット代を要求するだけあって、キャストの質は高いです。とくにダンスはダンサー主体で見せ、芝居も良い俳優を集めています。しかし脚本の拙さもあり、また演出に幾分の驕りが感じられる作品でした。
公演毎に劇場のアップグレードが進んでいるようですが、スタッフやキャストの知名度だけで客を集めるのには限界を感じます。少なくとも振付と演出と脚本は別々のスタッフで受け持つスタイルとすべきで、劇団代表が何でも担当するというのは良くないでしょう。次回作では、改善を望みます。

蛇足>今回はプログラムも入手できました。前回公演と違い潤沢に用意されていたのでしょう。写真が多用される割に格安でしたが、香盤表(キャスティング表)が掲載されていませんでした。やや残念です。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
TSミュージカルファンデーション
 事務局/東京都港区南青山5−3−2   Tel:
前回へ  ホームへ  次回へ