前頁へ  ホームへ  次頁へ
政治の研究No.83
NHKの受信料

 NHKの受信料は、この5年ほど払っていません。なぜなら、NHKは見ないからです。東京で暮らす限り、民放が豊富に揃っているので、敢えてNHKを見る必要がないと感じています。ニュース番組にしても民放との質の格差は減少しましたし、ずっと新しい情報を報道してくれているのでもありませんから。
 ところが、放送法の第32条第1項に「協会の放送を受信することのできる受信設備を設置した者は、協会と放送の受信の契約をしなければならない」とあります。家にTVを買ってアンテナに接続したらNHKと契約しろ、という乱暴な法律です。第2項には「協会はあらかじめ郵政大臣の認可を受けた基準によるのでなければ、前項本文の規程により契約を締結した者から徴収する受信料を免除してはならない」ともあります。視る視ないに関わらず受信料を取り立てなさい、となります。
 理不尽なものを感じますね。NHKだけ映らないTVは販売されないのでしょうか。そうすれば大手を振って受信料を支払わずに済みますのにね。

 昔々、ポン太の実家も受信料を払っていました。ある日カラーテレビを買ったのですが、カラーにすると白黒よりも受信料がアップするのだそうです。近所のオヂサンが子供を菓子で釣って、家にカラーテレビが入ったかどうか聞き出そうとしていました。オヂサンはNHKのスパイだったのです。
 早速NHKにたれ込んだオヂサンは、急に集金屋さんに変身して、受信料の差額を要求しました。ご近所の人たちは不承不承に支払ったのですが、ウチは受信料そのものの支払いをストップしました。もう25年ほど昔の話です。以来20年以上も実家は受信料を払いませんでした。
 そのとき、母親が切ったという啖呵が面白いです。「おたく(NHK)のアンテナだけへし折って持って帰れ! ウチはNHKなんか視ない!」と。オヂサンは頻繁に路地裏に潜り込んで、本当にNHKを視ていないか見回りしていたというオチまであります。このオヂサン、自営業なのに小遣いほしさにスパイもしてたんですね。
 ところで昔からのTVアンテナは、たくさんの鉄棒が生えていますが、一本一本が各放送局向けのアンテナなのではありません。これは八木=宇田アンテナと言って、全体で全部の受信波を受ける原理になっています。したがって、NHK用というアンテナはありませんし、アンテナの一部を折ってしまうと、全チャンネルの画質が低下するだけです。

 まあ、ともかく。NHKは離島にまで電波が行き渡るようインフラ整備に頑張っています。公共中立性を考えてCMを流さないと言うのも理解できます。しかし、視ない人間からも受信料を取ろう発想は頂けません。視たい人だけから徴収するスタンスに改めて欲しいと思います。
 もう一つの不満は、受信料の高さです。人件費や設備費に比べるとわずかな金額かも知れませんが、娯楽番組の番組制作費に無駄を感じます。例えば、大河ドラマで派手なロケーションをしたり、朝の連ドラ(視てないので、よく分からない)などもNHKが提供すべきものなのか疑問を感じます。ドキュメンタリー特集なども同様ですね。紅白歌合戦、のどじまん大会、地方特集などもそうでしょう。
 NHKのインフラとしての公共放送が必要ということと、娯楽番組を提供するということは分けて議論すべきだと思います。インフラは国民全体が負担して構わないと思いますが、娯楽番組の制作費を負担させることは筋違いだと思います。

 今は衛星放送もあり、視聴者が番組を選択する時代です。NHKは本来の公共放送部分だけに特化して視聴料を安く抑える努力をするべきでしょう。あるいは娯楽番組にはスポンサーを付けることも認めるべきではないでしょうか。

99.07.17
前頁へ  ホームへ  次頁へ