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政治の研究No.158
終電を無くそう!(前編)

 我々国民の大多数のライフサイクルは、早朝に出勤、夕方に帰宅、夜に就寝ではないでしょうか。昼に寝て夜に働くのは、特定の業種に限られると思います。いわゆる「夜勤」は時間給が高いのが一般的、高コストほどに高効率でないのも一般的ですね。
 フレックスタイム制や在宅勤務制を導入する企業が増えるなか、それでもライフスタイルが大きく様変わりしない原因は、終電の存在にあると思います。都市部での終電は、概ね24:00前後です。しかし、遠距離通勤や終バスに縛られる場合は、さらに早まります。深夜も電車が走っていれば、ライフスタイルに幅が持てるはずなのです。
 つまり、終電を無くし鉄道の24時間化を図ることで、経済的には消費拡大効果とコスト削減効果が期待でき、社会的には雇用のミスマッチ問題が縮小し雇用拡大効果が期待できます。

 スーパーマーケットの営業時間は、10:00〜20:00が主体です。飲食店を除く商店の場合も、ほぼ同様ではないでしょうか。この場合、店舗の実質稼働時間は10時間に過ぎません。開店準備作業、閉店後整理作業があるにしても、一日の半分は、店舗が遊んでいることになります。居酒屋ともなれば、7時間営業なども多々あり、1日の2/3は遊んでいる計算になります。
 店舗が遊ぶのは、要するに客が来ないことが理由でしょう。しかし、鉄道が深夜も運転していれば、お客はあると思います。現在のところ、夜間に出歩くための公共交通手段はタクシーしかなく、割高です。割安な鉄道やバスがあれば、深夜に出歩く客が増えるでしょう。そうなれば20時閉店の必要性もなく、さらに遅くまで営業できます。そうすれば、店舗の遊ぶ時間は減り、売り上げ増加、コスト削減が期待できます。あくまで来店客のあることが前提ですが・・。

 夜勤に割高な賃金体系を設定している業種が多いですが、夜勤希望者が少数派だからです。昼に遊んで夜に働くライフスタイルが増えれば、夜勤希望者もそれなりに増え、高い賃金を設定する必要がありません。夜型の人間は少なくなく、本人の希望に応じた勤務形態を採用しやすくなります。
 また、製造業の工場ラインで二交代・三交代制がありますが、その他業種にも導入可能でしょう。一つの机を二人で共有すれば、オフィススペースを小さくできるのが道理です。いまやオフィスの電子化が進んでおり、スペースの共有化は比較的容易です。物量を伴う業種でも、昼勤と夜勤で巧く引き継ぎできれば、24時間作業化が図れて要処理時間半減も可能でしょう。ロジスティック部門では大きな効果が期待できそうです。

 大手企業のオフィスが24時間稼働すれば、その周辺も24時間稼働するようになります。社員食堂や近隣の飲食店、その他商店にも波及効果が期待できるでしょう。これに倣う企業が増えれば増えるほど、波及効果が拡大するのは間違いありません。高校や大学にしても、二部通学の時間を延長することが可能になりますし、場合によっては、朝・夕・深夜の三部制も可能になります。塾やスクールの類も同様で、24時間施設をフル活用できれば、多くの学生を迎え入れて効率化し、安い費用で大きな効果を生み出すことができるでしょう。
 子供を寝かしつけた後で、母親が働きに出ることも可能です。業種が増えれば、仕事の選択の余地が拡大し、今のパートタイムよりも実入りの良い職種が出てくるでしょう。好きな仕事を長期間続けることもでき、やりがいのある「本職」を手に入れることも夢ではありません。夫婦が本職を持てば、家計は潤い生活に余裕ができます。それが消費に向けられれば、景気は拡大するでしょう。今の不況など・・一発で吹き飛ばせると思います。
 生活に余裕を持つことには反しますが、副職に選択の余地もできます。ワークシェアの導入とかで、労働時間を分け合う風潮が進んでいます。これを逆手にとり、業種の違う副職を持つのも一考でしょう。自分の夢に近い仕事が見つかれば、いずれ副職を本職とすることも視野にいれつつ・・頑張ってみることも可能です。

 とはいえ、鉄道会社には大きな負担を強い、高いリスクを持たせることになります。鉄道会社もハッピーに成らなくては、終電の廃止、すなわち鉄道24時間化は実現できません。次回に続きます。

02.04.08
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