私が愛さない劇団

 前回のコラムについて、読者の方から厳しいコメントを頂戴しました。曰く、「受付と芝居には全く関係がない。スタッフが悪くても、キャストは悪くない。あなたは本当に芝居を愛していますか?」というものです。更新履歴も直さずに掲載した直後だったので、関係者のコメントかも知れませんが。。。

作品だけ良ければ、満足か?

結局のところ、作品は観なかったので、何とも言えません。しかし、上記コメントにあるように、受付と芝居には関係はないでしょう。ただし、相関はあります。今回のトラブルでは、一人のスタッフが原因でなく、複数のスタッフに因るものでした。受付のトラブルは、今回ほどで無いにしても、過去2度ありました。劇団として、一般客を「お客様」として見ていない証左だと思います。とにかく劇場へ足を運び、お金を落としてくれる「財布」以上でも以下でも無いところでしょう。

キャスト達は自分の劇団の受付に並ぶ機会が少ないでしょうし、あったとしても身内の待遇を受けるので、まず気づかない問題だと思います。しかし、キャストは自分の親類や知人も呼ぶわけですから、彼らから間接的に受付のあり方が聞けるはずです。その劇団の作品しか見ない人だと難しいですが、対応に不満があればキャストの耳にも入るべきだと思います。実のところ、コラム掲載の二日後に知人のキャストからメールを貰いましたが、劇団として「対応の拙さを気づいていなかった」という説明には、大いに失望しました。「平素は注意している」という説明なら救いがあったのですが・・。

仮に作品の出来が良かったとしても、私は満足できません。キャストにしても、お客様を楽しませるのが本意でなく、自分のやりたいように演じただけ、と感じてしまいますから。小劇場系の場合、あまりお客様を楽しませる気持ちも無いのでしょうけれど。それでも、チケットを買わせて、劇場に足を運ばせ、数時間を拘束するコストを負担させるのですから、お客様へのサービスは必要だと思います。小劇場もショービジネスである事実から逃れられません。

私が愛さない劇団

過去に接してきた多くの劇団の中で、手切れをした劇団は、前回を含めて4つになります。手切れをした劇団について、再び足を運ぶことは無いでしょう。手切れをするに当たっては、「三回、期待を裏切る」ことを最低ルールにしています。1回や2回のトラブルは仕方がありませんが、3回となれば確信犯です。確信犯であれば、その劇団やその作品を愛すべき理由はありません。たとえ老舗のミュージカル劇団でもです。

期待を裏切るケースは、以下に列記するものです。たった一回の公演で、3回以上裏切ることもありますので、その場合は二回目を観に行きません。
(1)オレ様の作品を見せてやるから、とにかく付き合えという傲慢な作品。
(2)好き放題に奇天烈な演出をしておいて、「これは実験だ」と嘯く厚顔な作品。
(3)脚本・音楽・演出・音響などがド下手で、かつフォローをしない作品。
(4)ミュージカルと呼べない芝居に、「ミュージカル」と冠した作品。
(5)前回公演に較べて、著しく質の悪い作品を提供する劇団(準備不足など)。
(6)限りなく素人な役者を平然と使う劇団、縁故で下手な主役を選ぶ劇団。
(7)高額なチケット代を設定し、どうしようもない作品を観せる劇団。
(8)身内びいきに過ぎて、一般客を蔑ろにする劇団(受付を含む)。
一本の作品に際しては、同じ項目でミスがあっても1回と数えることにしています。作品の出来が極めて良かった場合や、繰り返しミスを重ねない場合は、ノーカウントにすることも多々あります。

こうした劇団を愛さないのには、他にも理由があります。拙いポン太のサイトを観て、小劇場作品を観に行ったというお客様のメールも受けますし、その劇団に入団したと言われるお客様もあります。前者は100人に一人ぐらいでしょうし、後者はその100分の1かも知れませんが、多少の可能性がある限り、その読者を失望させかねない劇団をウォッチすることは出来ません。とくに上記(5)(7)(8)など、ビジネス感覚のない劇団は・・。

 しかしながら、劇団スタッフに罪があっても、キャストに罪がなかったかも知れません。せめてイライラしながらでも作品は観て、その後に縁切りを考えるべきであったかも知れません。次回トラブルまでの宿題とします。