近頃のストレートプレイ

 劇団名や作品名に、演出家の名前がデカデカと飾ってあるのは、あまり好きではありません。いかにも自分一人で作っている、自分一人で客を呼んでいる、そんな尊大な感じがするからです。もちろん自ら丁寧な演出指導をする方もありますが、それさえも演出補などに一任してしまう人もあるとか・・。

久しぶりに、ストレートプレイ

それはともかく、久しぶりにストレートプレイを観ました。近頃は、ミュージカルで手一杯なので、余程のことが無いとストレートプレイに手が回りません。知人に誘われて、ようやく2本観ました。鴻上尚史氏の「ピルグリム」と、つかこうへい氏の「ストリッパー物語」でした。

いずれも有名な演出家の作品ですけれど、それだけにインパクトが強い、あるいは内容が濃い。誘ってくれた人は、それぞれ違いましたが・・・格別のファンでも無かったようで、大変だったようです。

ピルグリム」は、第三舞台として1989年に上演したもののリメイク版。主役に市川右近で、脇に富田靖子や山本耕史ら。シナリオはハチャメチャでぶっ飛んでいますが、笑いを取りつつも、強烈な世界観を押し込んできます。ダンスやソングも絡めて、娯楽性を高めています。作家の市川と、押し掛けアシストの山本と、編集者の富田という組み合わせ。山本のオカマぶりと、富田の体を張った芝居が、強く印象に残りました(富田は、向田邦子作品を映画化した「あ・うん」のイメージが強かったので、なかなか強烈)。

ストリッパー物語」は、北区つかこうへい劇団の新作で、石原良純の結婚記念公演だとか。ストリッパーに渋谷亜季、そのヒモに石原。場末のストリップ劇場と、その荒んだ人間関係を描きつつ反戦や社会批判を加えた作品で、同じくぶっ飛んだシナリオでした。いきなりニューヨークになったり、回想に入ったりしますが、唾を飛ばし汗かきして熱弁する石原が印象的でした。ともかく、キーとなる女優3人がよく踊ります。ソングは、何だか分かりませんでしたが。

ミュージカルに歩み寄り?

両者の作品で感じたことは、ストレートプレイ老舗の両劇団が、ミュージカルに色気を出していることです。演劇チケットのカテゴリーでも「ストレートプレイ」に入っていたので、一応味付けでダンスとソングを入れたということらしい。2年前に観た鴻上作品でもダンスが一応ありましたが、ミュージカル化を意識しているのでしょうか? つか作品は「ブロードウェイ」を随分と強調していました。

単純には言えませんが、劇団☆新感線の中島かずき氏がミュージカル「レディ・ゾロ」を書きました(看板俳優の古田新田氏もミュージカル「ピーターパン」などに出演したりしています)。大人計画の松尾スズキ氏が、ミュージカル「キレイ」に手を出しました。パルコ・プロヂュースの三谷幸喜作品も、ミュージカル「オケピ!」に手を出して、今年再演されます。単なるキャリアとしてなのか、注目度を意識してなのか、ストレートプレイに限界を感じてなのか・・・著名なストレートプレイ劇団によるミュージカル上演が流行化しているようです。

しかし、名の売れた俳優を持ってきて、「はい、ミュージカルです」というのも、気になる共通点。「オケピ!」は初演も再演もチケットの奪い合い、「キレイ」も奥菜恵で一般客を集めた感があります。商業劇団だけに聡いというべきなのか、安直なミュージカル上演には引っ掛かりもあります。多種多様なミュージカル作品が出てくることは良いことです。ぜひ歩み寄って、面倒な境界線を取っ払って欲しいです。

 「ミュージカルは、娯楽性が高くあるべき」というのが、ポン太の考えです。哲学は当然に必要で申し分ないのですが、その個性が強すぎて娯楽性を失わせるストレートプレイ系劇団のミュージカルもあります(とくに、小劇場系)。いつもの芝居に、とにかく歌と踊りを足してみました・・という安直な参入は遠慮して欲しい。
 上記した作品群は、今後のショービズを占う試金石となるかどうか。