前回へ  ホームへ  次回へ
ミュージカル作品紹介(第90回)
ペーパー・ムーン
■鑑 賞 日 平成11年7月9日(金) ソワレ
■劇 場 名 文化村シアターコクーン(渋谷)
■料  金 全席指定�,000円(前売料金)

■原  作 ミュージカル「Paper Moon
 脚  本:マーチン・キャセラ
 作  曲:ラリー・グロスマン 作  詞:エレン・フィッツヒュー
■演  出 栗山 民也     ■訳  詞 及川 眠子
■翻  訳 池内 美奈子,吉岡 裕一
■音楽監督 深沢 桂子     ■美  術 松井 るみ
■振  付 前田 清実     ■衣  裳 宇野 善子
■照  明 勝柴 次朗     ■音  響 山本 浩一
■ヘアメイク 角田 和子,片山 昌子
■舞台監督 鈴木 政憲     ■歌唱指導 小川 美也子
■アクション 渥美 博
キ ャ ス ト
モーゼス   (沢田 研二)   アディ    (前田 亜季)
トリクシー  (河合美智子)   イモジェン  (宮川  愛)
ビリー    (峰 さを理)   クリーホーン (小鹿  番)
                           ほか多数
ス ト ー リ ー
 母を交通事故で失い独り身になった少女アディ。大不況真っ直中の1930年合衆国であり、町の人々はアディの押しつけ先を捜していた。そこへやって来たのはアディの母親の知人と名乗るモーゼス、彼はアディを遠方の伯母ビリーへ届けることを請け負って200ドルをせしめた。ところが自分の車の修理代ほかに金を使ってしまい、アディに脅されて彼女を連れて商売に出るハメになる。
 モーゼスの商売は聖書販売を装った詐欺だが、アディと組んでからは順調に業績を伸ばすようになる。モーゼスを父親と疑うアディ、相棒以上父娘未満の関係のままアディは愛情を抱くようになる。しかしモーゼスは行きがかりの娼婦トリクシーに惚れ込んで、彼女の付き人イモジェンまで引き連れて行楽気分。苛立つアディは一計を案じて・・・。
コ メ ン ト
シナリオ シンプルで小気味良い展開を見せます。原作となったハリウッド映画は見ていませんが、翻訳・訳詞ともに原語に捕らわれて過ぎて居ず、自然な会話運びが素晴らしいものでした。
キャスト 公演中に14歳に成るという前田は、伸び伸び溌剌という演技を見せる一方で、ちょっぴり悪女を演じる面白い子役。彼女と沢田のコンビネーションをフォローする形で良いキャストが組まれています。ただしアンサンブルは役回りが多すぎて、全体に締まらない感じです。
ナンバー 想い出して」「覚えている」「あたしたちみたいな女の子」が良かったのですが、メロディに比べると歌詞が物足りない感じでした。でも自然なセリフが歌になったという素朴さも良いですね。
ステージ 大胆なのは、ステージ中央に何度も登場するオンボロ車。上下に揺れますし、左右へも回転します。この発想は面白いと思います。ホテルやカーニバルのシーンはゴチャゴチャしていますが、概ねシンプルでした。細かな演出も優れものです。
演 技 力 前田は子供の芝居を大人が演じるように演じます。計算し尽くした仕草など将来が期待できる女優です。沢田は日頃のダンディに似ず、情けない格好や表情を随所に見せます。前田との息もよく合っている感じがしました。宮川も若い役回りで怪しい関西弁を話す黒人の女の子(観劇中は男の子だと思った)を演じます。前田に及ばぬ感じながらなかなかです。小鹿は5役をこなしつつ、ベテランの味が出ていました。
歌 唱 力 前田の声は伸びやかで溌剌として元気が伝わってきます。後半でしみじみ歌うのは少し弱い感じでしたが。沢田はちょっと遠慮気味でパッとはしないようでした。コーラスは少し物足りなかったですね。
ダ ン ス ダンスシーンは多くありませんが、前田が一幕中盤に見せるカボチャパンツでタバコを吸いつつ踊るダンスと、一幕終わりに見せる宮川とのダンスが見物です。宮川はほとんど踊れていませんが・・・。
総合評価 あまり印象に残るシーンが少ないせいか、サラッとした感触しか残りませんでした。原作があることですしイメージは変えにくいのでしょうが、沢田前田をメインに据えるのであれば、もう少し何かがあっても良いと思いました。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス

前回へ  ホームへ  次回へ