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ミュージカル作品紹介(第336回)
音楽劇/ペールギュント
■劇  団 生命のコンサート
■鑑 賞 日 平成15年3月29日(土) ソワレ
■劇 場 名 東京文化会館・大ホール(上野)
■料  金 全席自由�,000円(前売価格)

■原  作 音楽詩劇「PEER GYNT
 作   HENRIK IBSEN(ヘンリック・イプセン)
 作  曲EDAVARD H. GRIEG(エドワルド・グリーク)
■脚本・演出 橋本 真理子 ■上演台本 岡田 照男
■音楽・指揮 尾花 輝代允 ■美  術 方丈舎
■振  付 膳亀 利次郎,石向 智絵,増田 環
■舞台監督 川前 英典 ■照  明 なだもとみ
キ ャ ス ト
ペール青年  (山崎  潤) ペール老人  (小杉 勇二)
魔王     (膳亀利次郎) 魔王の娘   (増田  環)
オーセ    (中澤 公子) ソルベイ   (松薗磨友未)
ぼたん作り  (田嶋 基吉)
ほか多数
ス ト ー リ ー
 怠け者で法螺吹きのペールは、村の鼻つまみ者。母オーセだけが庇ってくれるが、ただ甘やかすだけ。名士の花嫁を拐かして山に捨て、魔王の娘に求愛し、魔族に成りきれず逃げ出す始末。山小屋を建て、ソルベイを妻に迎えたが・・魔族に追われて流浪の旅に。モロッコやアラビア、ノルウェーやサンフランシスコを訪ねるが・・妄想癖を持つ詰まらない老人となって村へ帰ってきた。そこでは・・。
コ メ ン ト
シナリオ 一幕はともかく、二幕は全く意味不明なシナリオです。名作「ペールギュント」を適当に解釈し、精神病院やブロードウェイをミックスして、ストーリー性がありません。シーンとシーンの繋がりがなく、展開も中途半端です。名作の看板を利用した、駄作でしょう。
花嫁の誘拐からソルベイを迎えるまでが1日の出来事のように書かれるのが不自然で、唐突に山崎から小杉に入れ替わるのも変です。またソルベイとアニトラの扱いにも曲解があります。
キャスト 俳優はベテランを用意し、シンガーもダンサーも上手い人を配しています。しかし、シナリオの不味さが、全てをブチ壊しています。
ナンバー ペールギュントの名曲を使ってありますが、適当に切り詰めて使ってあるため、感動も何もありません。また、フォッシー作品の「SING,SING,SING」などジャズダンス曲を加えて、原作の良さを殺しています。
ステージ 舞台後方に山を形取った段差を作り、いくつか階段や岩壁を配しています。手前には、ダンス用に広いスペースが確保してありました。衣裳はそれなりで、照明や音響もまずまずです。せっかくオーケストラを用意しているのに、十分に活かさず惜しいです。
演 技 力 小杉田嶋は巧いですが、ダンサーやシンガーもサブキャストを努めるため、総合力は劣ります。山崎は、脚本・演出の悪さに因るのか不明ですが、冴えない芝居でした。
歌 唱 力 シンガーの松薗中澤は、声楽家だけに上手ですが、作品から完全に浮いています。コンサートでソロを唄ってもらう方が、ずっと佳いと思います。アンサンブルによる合唱もありましたが、賛美歌などであり、盛り上がりに欠けます。
ダ ン ス アンサンブルによるトロルの踊りは、三度繰り返されました。おそらく自信作なのだと思いますが、訴求力が弱く勿体ないです。ジャズダンスは普通の水準ですが、フォッシー作品と比べると、物足りません。アニトラの踊りを派手に演出して欲しいところです。
総合評価 子供客や招待客も多く、国連を看板としている割に、今回はお粗末でした。身内客は、出演者がステージに立つだけで満足だったようですが、一般客にはどう映ったのでしょう。カーテンコールで20回以上も「ブラボー!!」を連呼していた人がありましたが、ポン太は駄作だと思います。

蛇足>ノルウェーの伝説を組み合わせた作品だそうです。作曲家のグリークは、一旦協力を固辞したものの、民族音楽を自由にアレンジして欲しいとの要望に応えて、二十数曲のナンバーを書いたそうです。その後に何度も手直しをして、現在知られる名組曲となりました。原作も、そこそこ意味不明な妄想劇であることを、一応申し添えておきます。
上記コメントはポン太の主観&独断に基づいています
なお、評価ランクはポン太の五つ星を参照ください
ア ク セ ス
生命のコンサート
 事務所/東京都渋谷区千駄ヶ谷1−30−10   Tel:
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